俺様のカゴの中
その日の夜、耐えられなくなった留宇から電話が来た。



「声聞きたかった…」

「へぇ~」

「何してたの?」

「イタリア語の勉強」

「あたし少しなら話せるよ?」

「すげーな、お嬢」

「教えてあげようか?」

「あぁ」



眠い…。



家に帰りてぇのに…。



留宇の声聞いてると眠くてダメだ…。



「わりぃ、寝る」

「あっ、うん…」

「出張から帰ったら結納だってよ。で、そのままうちに住んじまえな?」

「へっ!?いい…の?」

「お前の親に急かされてんだよ。式まで籍は入れねぇけど」

「わかった…」

「じゃ、またな」

「おやすみ!!なさい…」



嬉しそうな声出しちゃって。



俺的には今から迎えに行きてぇくらいだ。



留宇のためにどんだけ我慢してんだよ…。



「まだいらしたんですか!?」

「どうにも眠くて…。忘れ物か?」

「ケータイを忘れてしまって。コーヒー淹れますね」



秘書の名前…なんだったかな…。



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