俺様のカゴの中
母親の目の動きで不機嫌だとわかった。



留宇を邪魔者扱いしたのは、親父とこの母親だ。



「そろそろお暇します」

「もう少しゆっくりなさったらいいのに」

「いえ、今日は挨拶に伺わせていただいただけですので」

「あらそう?気をつけてくださいね」

「えぇ、あなたも」

「えっ…?」

「では失礼します」



玄関まで見送ってくれたのは虎宇。



さっきから笑いをこらえるのに必死だったらしい。



「なかなか様になってるよ雷さ~ん」

「笑ってんなボケ」

「あんなに喋ってるとこ初めて見たかも!!」

「喋り疲れた…」

「で、最後のはどんな意味?」

「深い意味はねぇよ。カマかけたらどんな反応すんのか見たかっただけ」



あれは大収穫だけどな。



予想より動揺してたと思う。



「あの女にはなんかあんだろ。過去か現在かはわかんねぇけど」

「雷さんの洞察力ってどうやって鍛えたの?俺もそれ欲しい」

「知るかよ。きたねぇもんしか見てこなかったからじゃねぇか?」



気分は晴れた。



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