*SWEET LESSON*




不安げに彼を見ると


ふわり


身体が包み込まれ、一気に暖かくなる。



大和は、あたしをきつく抱きしめたまま 耳元で囁いてきた。



「さなが辞める必要なんてない。


俺が、辞める。辞めて、親父の会社を手伝うよ」



「えッ!?」


あまりの衝撃的な言葉に、慌てて身体を引き離す。


「…前々から、将来は会社を継いでくれ なんて言われてたんだけど

俺って人に勧められてどうにかなるような性格じゃないからさ。


いつか、自分から進んで会社を手伝えるように思えた時は


何歳になっていてもそうしようって決めてたんだ。



だから

今がその時だと思う」



あたしの目を捕らえる、彼の澄んだ目…


本気なんだ。


大和は一度決めたらそれを貫く覚悟がある人。



だけど…だからこそ


あたしが止めないといけない。



そう思った。





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