真面目なあたしは悪MANに恋をする
「葉南さん、今回のこと…許せないんで、葉南さんに止められても、やりますから」

何を? とは聞けなかった

「お手柔らかに…」

小さな声で、あたしは呟いた

「無理です。ただでさえ、寺島には個人的に怒りを感じてるんですから。止められるわけがない。感情を抑える必要もないですしね」

「いや…抑えたほうがいいと…思う」

「どうして? 葉南さんの心を傷つけて、身体も傷つけた男に何を我慢しなくちゃいけないのか? 僕にはさっぱりわからない」

片岡君は、バイクに跨った

赤い色のヘルメットかぶると、何も言わずにバイクで走り出して行った

「あー、行っちゃったねえ。チョーは一度プツンと切れちゃうと、止められないんすねえ」

ケンケンが困ったように頬を掻いた

「怒らせたのはケンケンじゃない!」

「まあ、きちんと報告しないと、あとでボコられんのが俺になるんでね」

ケンケンが困ったように苦笑した

「大丈夫っすよ。気が済めば、いつものチョーになりますから」

ケンケンがにこっと笑うと、バイクに跨った

「問題があるとしたら…バイト先に欠員が出るってことっすかね?」

ケンケンが肩をすくめると、バイクにエンジンをかけて走り去って行った

他の2台も、ケンケンの後を追いかけるように走っていく

やっぱり、人を殴るなんて良くないよ

片岡君に、喧嘩してもらいたくない

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