真面目なあたしは悪MANに恋をする
『今、大丈夫ですか?』

「え? あ、はいはい、大丈夫ですよ」

寝起きなせいか、返事をする言葉のイントネーションがおかしくなる

『寝てた?』

片岡君から、直球ストレートな質問が飛んでくる

「あーっと、まあ…ええ。寝てたっていうか…そのこたつで横になっていたっていうか…はい、そんな感じです」

くすくすと笑う声が、携帯の中から聞こえてきた

『ごめんね。店長が寺島君の代わりをまだ見つけてくれなくて、キッチンが厳しいんですよね。それで今日は、バイトの入ってない葉南さんにお願いしようと思いまして…どうでしょうか?』

あたしは部屋の隅にある時計を見上げる

時間は9時45分だった

「葉南の電話の相手、男だよっ!」

あたしの隣にいる茉莉が大きな声を出した

あたしはびっくりして、思わず携帯を落としそうになる

「え?」
「葉南に男がいんの?」
「ちょっとちょっと、聞いてないよ?」

それまでこたつでぐったりしていた友人たちが、次々に起きてきた

え? ええっ?

なんでそんな寝起きがいいわけ?
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