真面目なあたしは悪MANに恋をする
いつからだろう

母親の言う通りに生きて行っても、ロクなことはないって思ったのは

いつからかな?

母親の言うことを聞かずに、好き勝手に遊ぶようになったのは…

『君は君しかいないんだよ…この世にさ。だから君自身が、君を守らないでどうするの?』

あんなこと言われたの初めてだったな

不真面目でいるのが、カッコ良いって言われてきたし、憧れの目で見られるのが気持ち良かった

女子高で、『彼氏がいる』ってだけで羨ましがられた

食いつくように目を輝かせて、質問してくるクラスメートを見ているだけで快感だった

男と一緒に過ごすのも楽しかった

エッチは気持ち良かったし、私がお金を使わなくても、男が勝手に払ってくれるから、お小遣いの残金を気にして遊ぶ必要もなかった

あの楽しい日々が、あいつの言葉で詰まらない過去に早変わりした

なんで?

どうして?

私の人生って何だったのだろう?

他人の大切な物を奪って快感を得ていた私が、あいつに私の今までの快感をすべて奪われたみたいだ


“マサ”


ずるいよ

なんで、あいつの言葉は私の心をえぐるの?

カチカチの固まったシャーベットをスプーンでがりがりとほじくるみたいに、私の蓋をした感情をむき出しにした

あいつはずるい人だ


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