真面目なあたしは悪MANに恋をする
「ご両親は?」

あたしの質問に片岡君の表情が曇った

「生きてるけど、毎日何をしているのか…なんて知らないよ」

「え?」

「ま、詳しくは部屋で話すから」

にこっと片岡君は笑うと、ポケットから鍵を出した

事務所の入口から堂々と入るのかと思いきや、建物の横を半周して裏口から中に入った

裏口のドアを開けると、普通の家にあるような玄関になっている

片岡君は皮靴を脱ぐと、あたしにスリッパを出してくれる

「なんか…もっとこうぬぎっぱなしの靴とかが散乱してるかと思った」

あたしが率直な感想を述べた

そうなんだ

玄関には靴が一つも置いてないのだ

きっと多くの悪メンたちが、この家を利用しているはずなのに、男臭い靴が一つも置きっぱなしなってないのだ

玄関は綺麗で、棚の上には花瓶に一輪ざしまで置いてある

「自分の荷物は、自分で管理するように言ってある。僕以外の靴がここに出ているようなら、即捨てるって言ってあるからね。みんな、ここで脱いだら、2階に持っていくんだよ」

片岡君がどうぞっと手を出して、階段をさしてくれた

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