真面目なあたしは悪MANに恋をする
クリスマスのバイト
『タイトル:おはようございます』

午前9時50分に、メールの着信音が鳴る

あたしは読んでいた雑誌を放り投げて、机の上に置いてある携帯に手を伸ばすと、ベッドに座ったままでメールの内容を確認した

『バイトの片岡賢悟です。昨日の件で店長に了承を得ました。キッチンに12時-3時で入ってください。2時間休憩していただき、5ラスでホールのバイトをお願いします』

要件のみですか…もうちっと、砕けたメールでも良かったのになあ

昨日、親しく話せてたのが、夢みたいな気がしてきちゃうよ…なんて、期待しても無駄か

だって片岡君と話したのは昨日だけだしね

バイト中なんて、必要最低限の会話しかしてなかったから

昨日は、特別だよね?

落ち込んでいたあたしだったから

最悪な日だったから、ちょっとくらい良いこともあってもいいよねって神様が与えてた数分だったんだよ

あたしは机の上に携帯を戻そうとすると、またメールの着信音が鳴った

メロディだけで、相手が誰だかわかってしまう

悲しいなあ

すぐにメールの相手が誰だかわかるようにって思って音の設定を変えたのに

今は、聞きたくない音楽になっちゃってる

好きな人だから、大好きな曲をって思ってやったことなのに、好きな曲が嫌いになりつつある

このままだと、この曲まで嫌いになってしまいそう
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