真面目なあたしは悪MANに恋をする

・きっかけは金だった

家の居間の畳に座ってる母親と鈴菜の前で、俺は30万円の現金をぼんっとテーブルに置いた

「はい、今月分」

6月1日の今日、今月分のお金を置いた

「え? こんなに?」

鈴菜が、俺の顔を見上げてきた

「多い?」

俺は首をかしげた

「三人分の食費と、鈴菜のお小遣いが入ってるんだけど。母さんのはこっちね」

そういって俺は銀行の封筒に入ってる10万を渡した

「母さんのはいらないっていってるでしょ」

母親が封筒のまま、俺に突っ返してきた

「靴屋の収入、今月いくらだったの? 無理しないで使ってよ」

俺はテーブルの上に置くと、鞄を置きに自分の部屋に向かった

鈴菜が俺の家に来て、3週間が過ぎていた

母と鈴菜は仲良くしてるみたいだ

日中、一緒に買い物に行ったり、外食をしたりしているみたいだ

いつも靴屋の店番をぼけーっとやっていた母親が、化粧もするようになった

鈴菜との生活に刺激を受けるようになったのかもしれない

俺も、変わった

女の家に泊ることがなくなった

どんなに遅くなろうとも家に帰る

鈴菜の眠る布団で、俺も横になった

恋人同士ではないけど、夫婦のような生活を送っている


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