真面目なあたしは悪MANに恋をする
【番外編】スーツアクターに恋をして

酔ったゆえの過ち

-リンside-

「ほんとに一人暮らしっすか?」

頭上で男の声がして、私ももそっと布団の中から顔を出した

「なにぃ?」

バイトの飲みで、終電を逃した男を一人連れてきたことを思い出した私は、バイト仲間の男の横顔を見た

「ほっとに一人暮らし? これって彼氏の?」

「はあ? それ私の! 文句ある?」

「いや…ないっすけど。どう見ても、女の私物には見えなくて」

「悪かったわね。女は仮面ライダーグッズを寝室に並べちゃいけないわけ?」

私はキッと、バイト仲間を睨んだ

男は両手をあげて、左右に勢いよく振った

「好きなんっすね」

「当たり前でしょ。じゃなきゃ、今のバイトをしてないわよ」

そう、私はキャラクターショーのスーツアクターをしている

昨日は、戦隊モノのピンクをやった

楽しかった

私の寝室に入ってきている男は、健太郎ことケンケンらしいけれど

私はケンと呼んでいる

「ケンケン」だろうが「ケン」だろうが、相手が自分を呼んでいるとわかればそれでいいんだ


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