恋口の切りかた
頭を抱えそうになっている俺の前では、

母上が硯(すずり)と筆を持ってきて、
親父殿が何やら紙に書きつけ──


「よし、刀丸! 新しい名だ」


──って、早っ!?

まあ、俺の名前の時も似たような感じだったらしいが。


「どうだ?」

そう言って親父殿が見せた紙には、





『留玖』





という二文字があった。
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