恋口の切りかた
俺はそれに気づけなくて、
親父殿はそれに気づいた。
気づいて、与えた。
俺は子供だ。
もう一度、俺はそれを痛感して──
クソ、と奥歯をかむ。
そこで死体になっている男の言葉や、
りつ殿の言葉、
そしてあのぶきみな覆面家老の言葉が、
耳の奥でこだました。
親父殿の腕の中で泣きじゃくる留玖を見つめながら、俺は自分の無力さがくやしくて腹立たしくて、
早く大人になりたいと思った。
メニュー