恋口の切りかた
「へ?」

「今日はおれの負けだよ」


負けを認めて、おれは棒きれを置いた。


「お、おう。よし」

少年が安心した様子でうなずいた。


「くやしいなあ」

おれは先刻の動きを思い出してうなった。

自分の技の弱点は思っていたとおりだ。


「うーん、やっぱりこの技って、最初の攻撃を止められちゃうとダメだなぁ……。

打ち合いには向いてないのかな」


「え……?」

おれの言葉に、少年は驚いたようだった。


「やっぱり、って──お前、最初から自分の弱点わかってたのか?」


「うん、まあね。この技考えついた時に。
でもまた別の考えないと……。

ねえ、また明日もおれと戦ってくれる?」


「な……何なんだよ、お前は……」


「何って?」

彼が何に衝撃を受けているのかわからず、おれは首をかしげた。
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