恋口の切りかた
後に残された俺と冬馬はしばし睨み合って、

「いつまで『兄上』の胸ぐらつかんでるんだ、離せよコラ」

俺が言うと、冬馬はキッ、と切れ長の瞳で俺を睨め上げた。


「私と風佳殿が一緒にいたのを見て、他に言うことはないのですか!?」

「あァ? 俺との婚儀が嫌だって泣く許嫁殿を、お前がなだめてたんだろ?

何だよ、礼の一つでも言えってか? それとも謝罪しろってのか?」


向こうだって俺をここまで嫌ってるんだからおあいこだろうが。

俺一人がここまで責められるいわれはねえぞ。


勝手とは思いつつも、そんなつもりで俺が言うと、

冬馬はあっけにとられたような、
あきれ果てたような顔になった。


「まさか、本気で仰っているのですか?
風佳殿が何故、私の部屋にいたのかお聞きにならないのですか?」


はあ?


俺は眉根を寄せた。


「何故って、風佳もお前くらいしか泣きつく相手がいなかったからだろ? 今日は留玖の奴も町に出てたみてえだし……」

「え──?」
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