恋口の切りかた
私は身を固くして、
息を殺して、

だけど……


「どなたかそこに?」


気配を悟ったのか、障子の向こうの宗助の声は鋭くなった。


忍者なんか嫌いだよう──!

私は鼻先まで布団に潜り込んで、


「い、いやまあ、ちょっとな……」

これには円士郎も焦った様子で言葉を濁した。


「いったいどなたが?」

「いやあ、それは……」


歯切れの悪い円士郎の返答がまずかったのだろうか、

障子の向こうでは、何を勘違いしたのか身構えるような音がして、


「ご免!」


そんな声と共にからりと、障子は開けられてしまったのだった。


──宗助のばか!

忍者なんか嫌いだ、と私は目をつぶった。
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