君があたしにくれたもの
そういって、あたしよりも切なそうに問い掛ける菜穂子を見ると、笑って否定することしかできない。
「んなわけないや〜ん!あっついなあ思て空睨んでたん(笑)もぉ〜、こんなあっついとこつれてきて!日焼けしたらどうしてくれるんっ(笑)??」
どんなに否定しても、菜穂子には通じないことはわかっていたけど、笑って嘘をつくことしか出来なかった。
認めたら、また、切ない気持ちがあたしを支配して、あたしがあたしじゃなくなってしまうから。
いくら嘘が上手なあたしも、菜穂子の目を見て嘘はつけなくて、あたしは目の前で必死にプレーしている球児たちを見つめた。
そんな彩夏を、菜穂子は心配そうに見つめていたが、それ以上かける言葉が見つからず、球児たちに視線を向けた。








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