君があたしにくれたもの
「彩夏、まだ朔弥くんのこと忘れられやんみたい」
菜穂子と悠馬は彩夏を見送った後、帰り道を二人でゆっくりと歩いていた。
「そっか…」
悠馬はさっきの彩夏を思い出していた。

朔弥にフラれてから、彩夏の本物の笑顔を一度も見ていない。

「あたしに何でも吐き出してくれればいいのにっ、あたしじゃなくてもいい…。誰でもいいから、抑えてる気持ちを吐き出してしまえばいいのにっ…。ひっく。彩夏なんもいわんくてっ。笑ってるだけやねんっ。ひっく。あたし、そんな頼りないのかな?」
菜穂子はついに泣き出してしまった。
「んなことないって。彩夏はがんばり屋さんやし、優しい子やから周りに心配かけたくないねん。」
そう言って悠馬は菜穂子の頭を撫でた。









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