君に捧げる
「ん〜良いじゃない♪介抱してくれたお礼♪」

介抱すんじゃなかった…


「良いです!今日は彼女が来るんで!」

「彼女〜?」

「来ますよ」


疑いの目を向けて来る女にキッパリいった。……はずなのに、


「何でまだ、抱きついとるん?」


女はまだ、俺に抱き着いていた。そのせいか、俺はいつもの関西弁になってしまった。


「関西弁なんだぁ♪可愛い!!」


おっ!、男を可愛いとは言わないやろ?無しやろ?

「早く離れて下さい」

俺はちょっと、怒りぎみにいった。

やっと、観念したのか、女は離れようとした。


しかし、手遅れだった…


──ドサッ

何かが落ちる音がしたので、反射的に前を見上げた。

そこには……


「櫻子!」

櫻子が立っていた。

「克己の嘘つき!」

そう言って、櫻子は走っていってしまった。


俺も、櫻子の後を追いかける。

自分の家にいる女を置いて…。
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