グリンダムの王族
言いながらアランは体を起こした。
彼に寄り添っていたセシルも、つられて体を起こす。
アランはセシルの目を見て、言葉を続けた。

「クリス王子の妃となられてから以降は、
クリス王子以外の男と通じてはなりません。
あなたはいずれファラントの後継者を産まれる方ですから」

そこまで言って少し考えるように視線を動かすと、

「恐らく誘っても誰ものってこないでしょうが」

と言った。

「アランも?」

セシルの言葉にアランはちょっと目を丸くした。

「私はファラントには参りませんから」

アランの言葉にセシルはため息をついた。

「結婚って、つまらない、、、」

アランは彼女の言葉に、ちょっと困ったように微笑んだ。

「本来は、それが普通なのですよ。セシル様は、少し特殊です」

「、、、分かってるわよ」

セシルはそう言いながら目を伏せた。

アランにしても、言いながら彼女の立場が楽でないことは理解していた。

見ず知らずの男に嫁ぐため、見ず知らずの土地へ行く。
セシルのように気の強い子でも、やはり不安は感じるだろう。

「剣の稽古は、是非続けてください」

セシルは頷いて、「うん。それくらい、いいわよね」と応えた。

そしてアランを振り仰ぐと、その黒い瞳をじっと見つめた。

「たまに里帰りするから。そのときはまたよろしくね。王子には秘密にするから」

アランはふっと微笑むと、「お待ちしています」と返した。

セシルもそんな彼の言葉に微笑みを返す。
そして2人はどちらからともなく顔を寄せ、唇を合わせた。




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