グリンダムの王族

ファラント軍

ファラントへ移動する軍の先陣を切って出発したカインが、やがてファラント城に到着した。

残りの軍が全て到着するまで、ファラントで待機する。
そんな兄をセシルとクリス、そしてアレクサンドル王が出迎えた。

グリンダム軍が来ることは、前もって書状で伝えられていた。その目的は事前にセシルから説明されている。
アレクサンドル王の表情には明らかな緊張が見えた。

「お疲れ」

セシルはカインにそう声をかけると、「ラルフはどうしたの?」と聞いた。

「今頃アルンハイムに到着してるはずだ。
ギルバードが動いたかどうかは分からない」

「殿下。
ゴードが攻め入ってくるというのは、、、。
確かなのですか?」

アレクサンドル王が問いかける。
カインは自信を持って頷いた。

「ゴードの手先がグリンダムに入り込んだという確かな証拠があります。
ゴードは間もなくファラントを経由してグリンダムに攻め込むでしょう。
その前にゴードに攻め入りましょう」

確信に満ちた言葉に、アレクサンドル王もさすがにそれ以上問わなかった。
神妙な顔で頷く。

「そうですな、、、。
国に入られてはならない」

独り言のようにそう呟くと、再び目を上げた。

「我がファラント王国のために軍を進めて頂いてありがとうございます。
ファラント軍もカイン様に従い、出陣させて頂く所存でございます」

カインはその言葉に、「ありがとうございます」と言って軽く頭を下げた。
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