グリンダムの王族
カインの腕がまたリズの肩を抱いた。
そして彼の唇がリズの頬に触れる。リズは体を固くした。

「足、下ろして」

カインが言いながら、リズの膝を軽く叩いた。
ためらいつつ膝を抱いていた手を離すと、長椅子の下に足を下ろした。
カインはそれを確認すると、リズの体を自分の胸の中に引き寄せて抱きしめた。

その行動に、リズの体はビクッと震えた。
それを感じたのか、カインが耳元で「このくらいなら、大丈夫だろ?」と囁いた。

リズはその意外な言葉に少し黙ったまま固まっていたが、やがてコクリと頷いた。

「なるべく早く、慣れてくれ」

カインが穏やかにそう言った。
リズは何も言えずにただカインの肩越しに、夜の庭園を見ている。

「返事は?」

カインが囁いた。

「はい、、、」

リズが応える。

夜の空気に冷えた体が、カインの腕の中で少しずつ温められていた。
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