グリンダムの王族
セシルの言葉にカインは苦笑した。確かにとんだ災難だ。

「ラルフのもとを離れて良かったわよ。大事にしてあげてよね」

「大事にしてるよ。俺なりに」

カインはアランに「行こう」と一言言って馬に乗った。
アランは「はい」と応えて騎士隊のもとへ戻る。

カインは妹を馬上から見下ろした。

「昼に誘うなら好きにしな。俺、そろそろ行くから」

「はーい、行ってらっしゃい!」

セシルはそう言ってから、その目を騎士隊の方に向けた。
アランの姿を認めて微笑みかける。
アランもセシルに微笑みを返した。

それを確認すると、セシルは兄と騎士隊に背を向け、また城の中へと戻って行った。

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