4人4色。
水也は普通にあたしの横をダラダラあるいてて、

悟吏は一生懸命美羽にギャーギャー話し掛けて、

美羽は少し後ろを気にしながら笑顔で悟吏の相手をしてる。

そんな情景を絵を眺めるように見ているわたし。


この情景に違和感を感じるのはわたしだけなのかな。


わたしはこの幼なじみな関係がここちよいだけなんだ。

そんなときわたしたちのイバショ、
三原荘が見えてきた。


夕日を浴びて影になる入口の薄暗さ。


年期の入った懐かしい臭い、なんだか落ち着く。


家に帰って美羽の家でキャベツのお鍋を食べよう。

みんなでこたつに入ってたわいのない話をして。


そんな関係でいいんだよ。


「わたし、野菜切って待ってるからみんな早くきてねっ」


そういって笑顔で家に駆け込んだ美羽。


わたしの両脇にはそれを見送る二人がいて。


わたしは二人にまた後で、と小さくつぶやいてカチャカチャとなる階段を上って自分の部屋に向かった。


この明るくて薄暗いこの夕方がぴったりわたしの複雑な心境を表していた。











わたしたちのイバショ。

(むかしからかわらない階段の音がわたしをはげましてくれた)
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