これが俺の体験

すべきことを探して



居間と台所を挟むガラス戸を前に、手の汗を服で拭き取る。

いつもと違う空気に喉が渇いてきた。


ボクはガラス戸の取っ手を掴み、テレビの声が流れる居間に入った。


「おっちゃん!」

おっちゃんがびっくりして、ボクを見る。

そしてボクが手に握ってるものに気付いた。


「お前、なんだそれは!?」


慌てて後ろに隠したけど、それより早く、銃口が向けられる。

ボクの最も嫌いな──モデルガンが。

カチリと音がして、ボクの足が震える。

狙いをボクにしたまま、おっちゃんは怒って言う。


「どこで見つけたんだ?え!?」


ボクは怖くて言葉が出ない。

黙っていると、モデルガンが音を立てて、玉が右足に当たる。


「痛いっ───!痛いよぉ!」


泣くボクにモデルガンを向けたまま、怒鳴る。


「どこで見つけたんだっ!!」

ボクは右足をさすりながら、涙を流していると、おっちゃんが近付いてきた。


「それはまだお前が知らない方がいいんだ!お前は自ら死にたいのか!?」

「え──?」


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