男子、恋をする

「そう言えばさ、過去の資料見てたら大城 清斗って人も学年演劇の主役やってたんだけど」


「あっ、それ清兄だよ。昨日来てた」


「やっぱり!」



那津の顔を見るなり、はたと思い出したかのように乙部が切り出した話題。


よりにもよってバカ兄貴の話題かよっ。

頼むからこれ以上俺に纏わる俺のイメージに繋がる話題はやめてくれっ!



ただでさえ俺の本性が露見して心にダメージを負ってんのに……。


ろくでもない嫌な予感しかしない。



チクショーやっぱり逃げ出すべきだった……。


いや……。
寧ろ逃げ出せば俺が居ないのをいいことにバカ那津にあることないこと言われるのがオチ。

……どっちにしろ助からんじゃねぇか。


そんな俺の苦悩なんかそっちのけで乙部は過去の学年演劇の資料を棚から取り出してくる。


「何の演目?」


「えーと……一夫多妻の大富豪が女に溺れて破滅していく愛憎劇」


「…………」


「…………」



ハマリ過ぎ。
チャラい。



君原妹と乙部の視線が無言で俺にこう語りかけてきてる。


同情と哀れみの空気が部屋中に充満して酸素が薄くなった気がする。

……多分俺だけ。

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