ばうんてぃ☆はうんど・vol.3~ほーんてっどほすぴたる《改訂版》
第三章
「旦那様、お急ぎ下さい」
「わ、わかっておるわ!」
「とりあえず必要な荷物は、わたくしが全て持ちました。残りはすでに送ってあります」
「そ、そうか。ならすぐに出よう……。いや待て!」
「いかがなさいました?」
「パソコンのデータは消したのか?」
「もちろんです。各種ファイルからログまで、すでに全て消去済みです」
「なら良い。他に忘れ物はなかったかの?」
「ございません。旦那様の『コレクション』もこの荷物の中に」
「よ、よし。では、長居は無用じゃ。急ごう」
「かしこまりました。裏に車をまわして――」
 
ばがんっ!!
 
 バトラーが言い終わるより早く、スイートのデカイ両開きのドアが、内側に向かって吹き飛んだ。
「ひ、ひい!」
「よう。慌ててどこへお出かけだ?」
 ストークスじいさん、腰を抜かして尻もちついた。ま、今の俺たちの据わった目つきを見りゃ、当然かもしれねえが。
「い、いや、あれじゃよ、ほれ。今日発売のSA○のア○ナのフィギュア。限定物じゃから、そろそろ並ばんと手に入らないっていうか……」
「見え透いたホラぶっこいてんじゃねえ!」
 びくっとなって、じいさん固まる。
「てか、なんでじーちゃんがSA○とか知ってるわけ……?」
「ち、ちっちゃいことは気にせんどいてくれ……」
「だから古いって」
「んなこたあどうでも良いんだよ、じいさん」
「うっ……」
 俺は腰に手を当て、
「よくも騙してくれたな。ええ? 納得いく説明してもらおうか」
「い、いやいやそんな。騙しただなんて、人聞きの悪い……」
「しっかり騙してくれたじゃねえかっ!」
 またしてもびくっとなるじいさん。子犬か、こいつは。
「行ってみりゃ、なんか病院薄気味わりいし。ギャングじゃなくて、しっかり武装したおっさん連中が出てくるし。おまけに病院が薄気味わりいんだよ!」
「キレてるポイントそこ……?」
 あかりの声は聞こえないことにする。
「納得いくように説明しろ。それ聞いてから、俺もどうするか判断する」
「な、納得いったら、わしを見逃してくれるか……?」
「そうだな……。納得の度合いによって、撃ち殺すか斬り殺すか殴り殺すか決めてやる」
「どれもさほど変わらん!」
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