空色

parallel lines are never gona cross



“やっぱ無理だし。もぉいいよ。ってか見つかる方が奇跡だし。”

途中から観光そっちのけで彼を探すライアンに、あたしは言った。

夕方は少し肌寒く、夕日が赤く街を照らす。

“ロンドンにいるなら、ここにいてもおかしくないよ。今日は休日だし、ここはロンドンの中で一番栄えてる場所だし。”

“でも休日に出かけてないかもしれないし。やっぱり偶然ここで会おうなんて、夢物語だよ。現実に起こるわけない。”

そう言ってあたしはライアンを置いて歩き出す。

“待ってよ、そんな簡単にあきらめちゃうの?もしかしたらその夢物語が起こるかもしれないのに。”

“はいはい、夕食に間に合わなくなるよ。ホテル戻ろっ。”

そう言って歩き出した時、あたしは不注意で人にぶつかってしまった。


< 110 / 132 >

この作品をシェア

pagetop