不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-
「そ、それは・・・コウには、関係ないでしょ!」
私は、誤魔化すようにコウから視線を逸らし、横を向いた。
「何だよ、教えてくれてもいいだろ!」
「それより、コウと織田リョウの関係を教えなさいよ!」
私とコウは、テーブルを挟んで睨み合う。
「まあ、まあ、相変わらず、仲がいいわね。」
母親は、台所に立って、私とコウを見ながら、微笑みながらつぶやく。
「そうですか?」
コウは、母親の言葉に反応して、今の状況を忘れて、うれしそうに頭をかく。
「ええ、本当に昔から、仲がいいわよね、あなた達。コウちゃんが、ルミのお婿さんに来てくれればいいのに。」
「明日にでも来ます。」
即答するコウ。
「馬鹿なこと言わないでよ、お母さん。」
私は、母親を再び、睨みつけた。
「はいはい、邪魔者は、どっか行きますよ。」
母親は、そう言うと、台所を出て行った。