不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-

第5節:マルボロ



屋上には、春の爽やかな風が心地よく流れている。



その風のおかげで、私は、少し気持ちを落ち着けることができた。



(・・・後でコウに謝っておかないと・・・)



気持ちの乱れから、ついコウに強く当たってしまったことを、今さらながら後悔する。



(ミヤビとマイにも、変なところ見せちゃったなぁ~・・・)



そんなことを考えながら、屋上の手すりに、もたれかかった。



ふと、視線の先にある屋上の出入り口のドアの上、屋上のさらに屋上から、一筋の煙が微かに上がっているのに気づいた。



(・・・?)



私は、屋上の出入り口のドアの上に上がるための梯子を探す。



梯子は、すぐに見つかった。



その梯子を上がると、女の子がひとりで寝転がっていた。



そして、その女の子の手には、一本のタバコが握られていた。


< 99 / 135 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop