不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-
第5節:マルボロ
屋上には、春の爽やかな風が心地よく流れている。
その風のおかげで、私は、少し気持ちを落ち着けることができた。
(・・・後でコウに謝っておかないと・・・)
気持ちの乱れから、ついコウに強く当たってしまったことを、今さらながら後悔する。
(ミヤビとマイにも、変なところ見せちゃったなぁ~・・・)
そんなことを考えながら、屋上の手すりに、もたれかかった。
ふと、視線の先にある屋上の出入り口のドアの上、屋上のさらに屋上から、一筋の煙が微かに上がっているのに気づいた。
(・・・?)
私は、屋上の出入り口のドアの上に上がるための梯子を探す。
梯子は、すぐに見つかった。
その梯子を上がると、女の子がひとりで寝転がっていた。
そして、その女の子の手には、一本のタバコが握られていた。