想うのはあなたひとり―彼岸花―



答えを求めたら、答えは見つかるのかな?
どうしたら答えは見つかるのかな?




私の問いかけに黙る皐。
静かな空気がそこにゆっくりと流れていた。


未来に針が進んでいく。



「…誰だっていいじゃん?」



そう言った皐の背中がとても寂しそうだった。
私は視線をずらし、液晶テレビに顔を向ける。


気づいてしまった。
テレビの上にある、物体を。
本来なら立っているはずのものが、なぜかそこには寝た状態だった。



私は、興味があるの。


あなたの中を見てみたい。



立ち上がり、テレビに近づく。視界に映ったものは、写真立てだった。
ゆっくりと手を伸ばし、それを手に取る。
その瞬間がやけにスローモーションで世界が動いていたような気がした。


そして一定の速度で呼吸をし、写真立てを裏返しにする。





皐は私にこう言ったよね。
蜜蜂は甘い蜜を何度も求めにくるって。


私のが先だったかもしれない。蜜蜂になったのは。



甘い蜜を求めたのは私が先だった…。





呼吸が止まる。





写真に映っていたのは、学ラン姿の皐と、呼吸の仕方を忘れてしまうくらい…




私によく似た女の子だった。








< 90 / 385 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop