窓に影
6・美男子か好青年か




 コトは想定外に早く起こった。

 1月4日、月曜日。

 目の前には八重歯の美男子。

 私は彼に呼び出され、街のファミレスへ来ていた。

「恵里ちゃん、俺と付き合って」

 まさか、こんなに早くこういうことになるとは……。

 頭によぎったのは歩の顔。

 響子さんと一緒にいるときの、優しい顔をした歩の顔。

 ここで首を縦に振れば事実上歩を諦めたことにできる。

 横に振れば、惨めにも片思い続行決定。

 しかし理屈ではどうしようもない私の気持ちは、確実に歩に傾いているのだ。

 どうしよう。

 悠晴の整った顔から目が離せない。

 でも歩の憎たらしい顔が心から離れない。

 私は頭の中で色んな葛藤をしながら、一言だけ告げた。

「考えさせて!」


 そしてその翌日。

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