窓に影
11・桜散る季節




 季節は春。

 出会いの4月。

 無事に進級することができた私は、進学を志望する聡美とクラスが離れてしまった。

「聡美がいないとつまんない」

「仕方ないでしょ。わがまま言うんじゃないの」

 でも放課後は相変わらず聡美と街に繰り出し、一緒に過ごしたりそれぞれの彼氏との待ち合わせに向かったりする。

 悠晴は最近バイトを始めて、車の免許を取るんだと意気込んでいた。



 そして、火曜日。

「だからさ、何でそうなるわけ?」

「なるもんはなるんだからしょうがないだろ。余計なことは考えなくていいから、さっさと続きを解け」

 指導方針は相変わらずの歩が、最近ちょっとおかしい。

「ひゃあっ」

 問題を解いている最中だというのに、歩の唇が軟骨のピアスに触れる。

「あ、ごめん。つい」

 こんなことが増えた。

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