ハニー*スパイス


「お前といい、岳君といい……なんで赤ちゃんの性別がわかるのかな」


すごい偶然だよなって、パパはクスクス笑う。


偶然?

ううん、きっと必然。


あたしが隼人に会えることを予感していたように、岳さんもあたしが生まれてくることを予感してくれてたのかな?


岳さんは気づいてたの?


あの日、椿と名づけられたあたしのこと。


それはわからない。


だけど、この名前の由来に、小さな岳さんが深く関わっていた。

それだけであたしの胸はいっぱいになった。



岳さんと出会ったのはきっと必然。


もうそれだけで充分だって思えた。


「パパ。素敵な話ありがとう
あたし、この名前で良かった」



パパにお礼を言って

それからあたしは家を出た。


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