ハニー*スパイス

「ハイハイ、何ですか?
ファザコン椿ちゃん」


タバコを灰皿に押し付けながら、からかうように言う。


「茶化さないで!
ちゃんとあたしのこと、見てよ!
あたし……もう19だよ?」


テーブル脇に立つ。


そしていつかのように……

腕を伸ばして、そっと岳さんの頭を抱きしめた。


「おかえりなさい」




岳さんはしばらく黙ったままで……、


やがて、胸の中から小さな声がする。


「ただいま」って。


それ以上の言葉なんていらない。


3年の月日を埋めるように、あたし達はしばらく動けなかった。





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