ハニー*スパイス

「お子チャマな椿ちゃんは、パパが盗られちゃう……って寂しいんじゃねーの?」


「な……なんでそう思うの?」


「椿は、ウソつく時、やたらと早口になるからな」


「えっ……」と、あたしは慌てて口元を押さえる。


「今、早口だった?」


「やっぱりウソだったんだ」


くっくって、楽しそうに笑う岳さん。



「ひどい! カマかけてたの?」


「お前が単純すぎなの。
オレ、お前が犯人だったらカツ丼出さなくても自供させる自信あるわ」


「何その例え。意味わかんない。
てか、あたしお子チャマじゃないし!」


「今更? 怒るトコそこかよ!
お前の怒りのバロメーター、絶対ずれてるよ!」


「むぅ……」って、言葉を詰まらせ、頬を膨らませて睨むと。


「ガキ」ってデコピンされた。

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