+Sariel+

***






切れている、ギンの拳に。




あたしはそっとガーゼを当てた。

当てた部分を見ると、真っ白だった場所が赤く、染まっていた。



「あんなに・・・殴らなくてもよかったのに・・・」



家にたどり着いて。

隣に薬箱を置いて、あたしは呟いた。
ギンは、ニッと笑う。


「嬉しいなっ!!
アズサちゃんが心配してくれて♪」



あたしは、ギンの傷をじっと見詰める。



・・・血で赤くなっている。

あたしは眉をひそめた。


ふと・・・視線が、袖をまくっている腕にいって。


あたしは口を思わず閉じる。


そして、ゆっくりと手を伸ばした。




< 46 / 90 >

この作品をシェア

pagetop