*title*未定*


そうじゃなくて、と呟いてリジーはもう一度ラジオの音に耳を集中させた。

ノイズに混じり小さな声が聞こえる。
少女のような少年のような…判断のつかない声音。


「ほら、」
「聞こえない。」
「ボリュームを上げなよ。」
「…………、」
「ね?」
「…何なんだ、これ。」


【聞こえますか…
…聞こえますか

ワタシの声が
届いてますか

こちら きまぐれ放送局
きまぐれ電波で放送中

ラジオの前の暇人さん
お暇なアナタを御招待

ワタシのきまぐれお茶会に
どうぞいらして下さいな

開催日時はきまぐれに
アナタが来た日 来た時間

開催場所もきまぐれに
此処じゃない何処かで開催です

この放送が聞こえたアナタ
どうぞいらして下さいな】


「お茶会へ御招待、か。」
「胡散臭いね。」
「面白そうじゃないか?」
「まぁ、少しは…」
「“此処じゃない何処か”…ふむ、」
「行く気かい?」
「だって私は暇人だもの。」


口角を上げ笑みを作ると白いワンピースの裾を翻し椅子から立ち上がる。
ラジオをそのままに部屋へ向かって声を張った。


「支度を!」


部屋の中に居た部屋番が、慌てたような空気を纏う。


< 5 / 10 >

この作品をシェア

pagetop