無慈悲な水の記憶

演劇部部員は
俺あわせて八人

結構少なかったりする。

一年生は、俺を入れて三人。
先に先着が居たみたいで
なんだかホッとする。
二年生は、二人
三年生は、三人いる。

女子は二人だけ。
後は全員男子のみ。



「えっと、一年生は
浪矢彰(ナミヤ アキラ)さんと
宵月梓(ヨイヅキ アズサ)さんと俺」

「言えるじゃんかッ」

「二年生は確か
小野先輩と春風先輩で、
三年生は、咲斗先輩と…」


「忘れちゃったかッ?」
「あ、あはは…ごめんなさいッ」


頬を上げ微かに頬笑むと
咲斗先輩はすらすらと説明してくれた。

「二年生は
小野克哉(オノ カツヤ)
春風和人(ハルカゼ カツト)
三年生は
柚木和音(ユノキ カズネ)
相羽悠里(アイバ ユウリ)
んで、俺なッ」


「咲斗先輩って
結構暗記力いいんですね!!」

「暗記力の問題かッ?
あほ、3年部やってれば普通に
覚えるに決まってるだろーがッ」

「あはは、なんちゃって」



夕焼けの太陽が沈みかける直前
綺麗な具合に光が町中を照らした
「綺麗…」
「おっ珍しいなッ
夕日の光が反射して
いい具合に照らしてやがるッ」

「本当綺麗、ですね…ッ」
「あぁ、まるで世界じゃねぇーみたいだッ」



夕日の輝きに
吸い込まれるかのように
俺達は立ちすくんだ。

きっと咲斗先輩のいうように
なんだか世界じゃない気がした。
「…?」
「馨、どうした?」

「ッ…?あれ、今誰か居たような」
「何処に?」
「あっちの茂みのほう。
気配がしたんですが。
…多分気のせいですッ」

「?そっか、じゃあ
暗くなる前に帰るとするか」

「はいッ」

咲斗先輩と別れ深々とお辞儀をし
足早に家へと向かった







「…やっと見つけた、馨…」

これが俺の
平凡な高校生活を
崩し破滅へと導いた記憶だった。




第一章:END
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