昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
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食堂は見渡す限り人だらけやった。


詰め放題でネットにぎゅうぎゅうに入れられたミカンみたいに、すごい混み具合。

椅子なんて一個も空いてへん。

学生の人数に見合った食堂の大きさにしようや…そんなことを思ってため息をついていたら、ちょうど食べ終わったんか目の前の席が空いた。


「お、ラッキー!優子、座ろうやぁ」

「…っつーか風間それは食べ過ぎちゃうの」


意気揚々と席を陣取るウチの友人、風間。

お盆の上にはラーメンと卵丼と唐揚げとチーズケーキ、という黄色っぽーいガッツリ系の食べ物たちがのっかっていた。


ラーメンにチーズケーキって、その組み合わせはどうなん。


「ええ!?男の子やもん俺。こんなんフツーやし」

「…なんで男ってこんな食っても太らんのやろなぁ」


もう一回おっきいため息をつく。

風間は何を聞いとったんか、「そんなに欲しいならチーズケーキ分けたるやん」とか言ってくる。

誰も欲しがってないし。


大食のくせに今はやりの細マッチョ(本人談)の風間は、ウチと同じ文学部の学生。

数少ない男子の中で、唯一もっさいオーラがない男である。

ウチ自身あんまり女の子同士のキャピキャピ〜ってした雰囲気が苦手やから、こうしてよく風間とつるんどる。


ウチがまだ一口目を食べとる間に、風間はすでに卵丼を半分以上食っていた。


「てか今朝、どうしたん?」

「え?」

「優子が遅れてくるとか珍しいやん」


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