昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
白い顔のインパクトのせいでですっかり飛んどった。

まだブツブツ文句言いよるお母さんを揺すって問いかける。すごい勢いで走ったせいで、脈がバクバクゆうてるのが自分でわかった。


「ば…ばあちゃんは…!?」

「和室で寝とる」


和室は、ばあちゃんの使てる部屋や。

じいちゃんがだいぶ前に死んでから、ばあちゃんはウチの家で暮らすようになっとったから。


「病院やないん!?なんで倒れ…っ、大丈夫なんっ!?」

「うん、打撲や」

「たぼ…、……は?」


自分の耳を疑った。

キョトンとした顔でこっち見てくるお母さん。いやいやキョトンとしたいのはこっちやし。

ほんまキョットーンやし。


「え…だって倒れたって……」

「倒れたっていうか、コケた?」

「………」

「いや〜…お母さんちょっとふざけてひざカックンしたらなぁ、ばあちゃん反応よすぎてカクーッてなってしりもちついてなぁ」

「………」

「ほんまカクーッてなってん、清々しいくらいカクーッてなぁ!!」

「………、なん…」

「え?」

「〜なら倒れたとか紛らわしいメール送るなや!!本気で心配して…っ!!……はああぁ〜……」


力抜けてその場にしゃがみ込んだ。

打撲て。

軽い打ち身みたいなんやろ?しかも膝カックンとかちょっと古いしブームとっくに過ぎてるしなんかもう……


「信っじられへん…」

「せやかてアンタそうでも言わんとこっち戻ってこおへんやん。」


やからってやっていいことと悪いことがあるやろ。寿命縮まったやんか。しかも顔白いし怖いし…


「ばあちゃん寂しがっとったんやで?アンタも…勝くんも、ほんま薄情なんやから」


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