昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
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「なぁ、これは?」



呼び止められて振り返る。


風間が持ってたのは、淡い色した麻っぽい生地のワンピース。


めっちゃうすい紫かピンクか、その中間くらいの。

ボタンのステッチがグラデーションみたいに違う色で縫われてて、ちょっと凝ってる。



……て。



「いやいやいやむりむりむり」

「なんで」

「いやだってそれ女の子の服やんか」

「…お前は男子か」


呆れたみたいに眉を下げた風間は、「ええから着てみ!」と無理やりウチを更衣室までひっぱっていった。





─今日は、風間と一緒に買い物に来てた。


洋服だれかと選びに行くなんて、おかーさん以外初めてや。


自分で買いにいっても、ユニクロで無地かボーダーのTシャツくらいしか買わんし。


買い物時間約10分。

判断基準、色、黒かグレーか白、もしくは紺。サイズ、L。終了。


…この話したら、よく女の子じゃないって言われる。



それにひきかえ、風間はいっつもおしゃれさんや。


そんな奇抜なもん着とるわけやないけど、シンプルやのに着こなしがうまい。雑誌とかのってても違和感なさそうな。



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