北千住奇想曲

2

高校卒業後、しばらくすると無性に同窓会をやりたくなるものらしい。
数少ない友人も、みな口を揃えて体験談を語っている。

ぼくも例に漏れず同窓会に参加したクチではあるわけで、そこで谷沢藍の涙を見たわけだ。

卒業して一年足らず、何が変わるってほどに充分な時間でもない。ただ環境が変わっただけで人間が変わったような奴は一人もいない。

だが、それがいい。

そういうものかもしれない。
まだ変わっていない、そういうことを確認したいんだ、とは誰も言わないが無意識に求めているのはそういう事なのかもしれない。

そう自分自身で思いながら、座の中心になって、変わっていないことを確認して回ったかというとそうでもない。
ぼくは、ひっそりと端っこで数少ない友人ともそもそと話していた程度だ。

途中でコンビニで金をおろしておかないと本日の会費が払えないと気がついて、居酒屋の外にでてすぐの角を曲がったところで谷沢藍に出くわした。
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