純情BABY
一日中私の周りは騒がしくて、放課後それは最高潮に達した。




理由は渋谷が迎えに来たからだ。




ざわつく周りを気にもせず、堂々と教室に入ってきて私の前に立った。




『帰る用意出来た?』




2人きりの時とはまるで違う優しい口調に柔らかい笑顔。




胡散臭い笑顔だなってこの時初めて感じた。




昨日までの私はこの笑顔に胸きゅんしてたはずなのに。




今改めて見ると造った笑顔にしか見えない。




そう思うのは、2人きりの時の顔を知ってしまったから?




斜に構えて、口の端を片方だけあげて意地悪そうに笑うあの顔を、知ってしまったからなんだろうか。




憎たらしい顔つきなのに、そっちの笑い方の方が彼に似合っていて、いいな、


なんて思い始めてる自分にビックリだよ。





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