純情BABY
『通りかかったらドアが少し開いてて、彼女とゆっくり話すのに勝手に入ってしまいました。すみません』




手に持っていたメガネをかけ直した渋谷が淡々と言う姿。




さっきまでの笑顔はすっかりと消えてしまってた。




『そうだったの。鍵が開いてたなら私のミスね。だからそんな謝らなくていいよ。
今回は特別に見逃してあげるからごゆっくりどうぞ』



出ていくように言われるかと思ったのに、さすがしずちゃん。話がわかるな〜。



ありがとう、と私が言うより早く、渋谷が口を開いた。




『いえ。ここ以外でも話はできますし、お気遣いなく』




「えっ?ちょっ、待ってよ」




私の手を握って歩き出す渋谷に引っ張られてよろけながらしずちゃんの横を通りすぎる。




しずちゃんは、驚いた顔をしながら私たちが出ていくのを見ていた。





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