純情BABY
夏樹と目が合った瞬間、私はもしかしたらと期待していた。

私が噂通りの、すぐヤらせるような子じゃないって、否定してくれるかも。




ここで夏樹に違うと言ってもらえれば、噂もなくなって、渋谷も噂目当てなんて、おかしな目で見られずに済むんじゃないかって、そんな期待。




「夏樹、あのさ…」




だけど呼んだや否や、すごく嫌そうな顔をして、目を逸らされる。




そしてぼそりと言った。
『話しかけてんじゃねーよ。俺まで変な目で見られるだろ』って。




変な目って・・・。何それ。どんな目だよ。




ちょっと。そりゃいくらなんでもひどいんじゃない?
仮にも、私たち付き合ってたんだよ?告ってきたのだって夏樹の方なのに。




怒りから握った拳が震える。




女子からは、渋谷の様子がおかしくなったのは私のせいだと罵られ、
男子からは、ヤらせろとか口にするものおぞましい卑猥な言葉を投げかけられ。



もう限界!!




そんな時だった。




『ごちゃごちゃうるせーんだよ』




低く、だけどどんな罵倒よりも、はっきり通る声で、渋谷が言い、
辺りが一瞬で沈黙に包まれた。





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