純情BABY
好きって一言言ってくれれば済むのに。


けれど、それをしないでまわりくどく言われた今の言葉の方が、嬉しくて仕方ない。




また一歩渋谷が近づいてきて、私と渋谷の距離がさらに縮まる。




そして顎に指がかけられて、上を向かされた。




この体勢は……





もしかして、もしかしなくても




き、キス!?





『すげー真っ赤』




「い、言わないでよぅ」




からかうようにかけられた言葉に恥ずかしさとキンチョーとでドキドキMAXになりながら答える。




そんな私のキモチに気づいてるのかフッと笑って、渋谷が顔を傾けて、もっと近づいてきた。





甘い期待にときめきながらギュッと目を閉じる。





その瞬間、





ガツンッと頭に衝撃が走った。




「〜っ!!!?」





続いてやってくるズキズキとする痛みに目を開ければ、チカチカと星が飛んで見えた。




そして何が起こったのか理解するより先に聞こえてきた渋谷の言葉。




『一番最初に、俺に頭突きしたよな?アレのお返し』



それは“お返し”じゃなくて、“仕返し”じゃん!!



< 79 / 109 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop