キミは聞こえる

「やっぱ同い年からだよねぇ……うぅ」

 なぜそうなる。というか、君はいったいなにを私に訊いているんだい? 

 彼の求めているところがはっきりしないのではこちらとしても答えのしようがない。
 沈黙しながら思考をフル回転させている泉の隣でさらに追い打ちをかけるようにいきなり肩を落とすものだからそれでますますわけがわからなくなる。

「も、もしかして恋愛対象の年齢について聞いてるの……?」

 話の流れ、彼のひどい落ちこみようから察するにようやく(か自信はないけれど…)一つの答えにたどり着いた。
 目を見て尋ねると途端に康士の顔が赤くなる。落ち込んだり赤くなったり忙しいヤツだな、と思った。

「そ、それ以外ってある、の……?」

 そんなの知るかよ。
 とは言えないので適当な万能返しを送ることにする。

「さぁ?」
「さぁって……。やっぱ代谷さんてちょっと変わってるよね。兄ちゃんの言ってた通りだ」

 貴様にだけは変わっていると言われたくない。
 弟よ、納得するところではないぞ。よりによって本人を目の前にしてはな。

「ちなみに桐野くんはなんて言ってたの」
「真面目なのか抜けてるのかよくわかんない。独特の空気を持ってる不思議ちゃんなカンジ」

 真面目の部分を除いてそっくりそのまま桐野にお返しする。
 なにが不思議ちゃんなカンジだ。やかましい。

「でさぁ、さっきの改めて聞きたいんだけど」
「年下はどうですか?」

 のぞきこむ日焼け顔に首を傾げると、男は頷いた。眸が期待じみたように輝いているのは気のせいだろうか。

 数秒考え込み、泉は言った。
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