着ぐるみの恋
龍子は自分のボードを手に入れた。

身も心も、拓也に染まっていく。

いつか結婚しよう。

夫婦でサーフショップが出来るといいね。

幸せ絶頂の時…何かが来たよ、ほぉら、来たよ……。

龍子の体に異変が…病魔が忍び足で寄って来ていた。

そんなカリキュラム…龍子は全く気付いていない、当然だ……。


今日の波は一段と高いぞ、と意気揚々とした拓也の横で、龍子の気持ちも弾む。

ボックスカーの車内で水着に着替える最中、拓也が発見した。

龍子の肘に出来た、悪魔の子供……。

「何か、虫に刺されたのか?」

「えっ?」

肘に出来た、赤いぽつぽつの斑点、それは数個もあった。

虫刺されにしては、痒くも痛くもない。

何だろう?

あまり気に止めなかった。

ザブン~ザブン~二人は波と一体化した。

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