着ぐるみの恋
4  ホステス月子


「殿方が女性に求める物は、真の優しさです。真の優しさとは?見せる物ではありません。人に見られる事を意識した優しさは偽物、決して気付かれる事なく、 そっと人を思いやる行為は、自分にご褒美として必ず返ってきます。それは顔の表情に出るのです。十人十色、この世には、様々な顔の造りはあるけれど、優しさ身につけた顔に勝るものはありません。どうか皆さん、今夜も優しい笑顔で1日頑張って下さいね」

ルミ子ママのミーティングで、1日が始まる。

ホステスと言う職業…月子にとっては、見る事、聞く事、全てが新鮮だった。

先輩ホステスの見よう見まねで、月子は仕事を覚えていった。

ヘルプとして、売れっ子姉さんの席でお客の相手をする。

優しく可愛い月子の人気は、しだいに上がっていった。

兄の家を出て、月子はマンションを借りた。

龍子が月子に……兄はただ、ただ、見守る事しか出来ず、新しい道を進む龍子に、水商売に抵抗はあったものの、自殺されるよりはましだと…黙って龍子を見送った。


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