trick Or trёat!


麗らかな秋の木漏れ日が、教室全体に降り注ぐ昼休み。


「痛ってぇっ!」


某マンガの最新刊を読んでいたら、突然頭を叩かれた。

…いや、どっちかっつーと
ぶん殴られた、って言った方が正しい。



犯人は明確。



「てんめぇ、何すんだよ!」

思わず涙目になった顔で、痛む後頭部を押さえ視線を上げる。


すると、手を挙げた張本人(女)は仁王立ちで俺を見下ろして言った。


「トリック オア トリート!」

「はぁ!?」


トリック オ…な、何だって?



眉間にシワを寄せたまま睨み返すと、相手は懲りる事なく同じ言葉を投げかけて来る。



「だぁーから!トリック オア トリートだってば!」

「それが何だよ!!」

ちょっと待て。
その頭に乗ってる三角のハットは一体何!?



…つーか頭、超痛ぇし!




痛みに顔を歪ませている俺に、ずいっと近付いて来た女…

もとい、由井 紅葉(ヨシイ クレハ)は心底驚いたように目を丸くした。


「本当に知らないの?」

「だから何が!」

「ハロウィンよ!」


ハ、ハロウィン?




< 2 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop